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異形の王権 (平凡社ライブラリー)
本, 網野善彦
によって 網野善彦
3.6 5つ星のうち 12 人の読者
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以下は、異形の王権 (平凡社ライブラリー)に関する最も有用なレビューの一部です。 この本を購入する/読むことを決定する前にこれを検討することができます。
久しぶりに網野の本を読んだところである。本書では「異形」というものの説明を絵画から掘り起こすところから始まる。豊富に図が載せられており、普段昔の絵画を見る機会に乏しい僕としては中々勉強になった。蓑等の持つある種の「聖性」に関しては本書でも紹介されている勝俣鎮夫の著書を30年前に読んだ記憶も残っており、ある種の復習にもなった。後半は後醍醐天皇に絞った展開となっている。この部分が本書の白眉であることは本書の題名から見ても明らかだが、前半で紹介されてきた「異形」を以下に「権威」が取り込もうとしたのかという点を興味深く読めた。ここでポイントであるのは「異形」を起用したのが「権力」ではなく「権威」である点だ。本書で網野が開陳する風景とは古代以来の天皇制の崩壊の危機を感じた「権威」=後醍醐天皇のアクションプランが何であったのかという極めて具体的なものだ。危機に瀕した「権威」が「権力」を志向するに当って、本来「権威」から離れた「周縁」にある「異形」を「権威の真ん中」に連れてきた剛腕が後醍醐天皇の画期であると網野は喝破していると僕は読んだ。それが可能であったのは「異形」そのものがそもそも「聖性」を帯びているからに見える。これは例えばサタンとは「そもそも天使であった」=堕天使であるという図式にも重なる。そういう補助線を引く事で本書を僕なりに理解した積りになっているところだ。網野の本は面白い。網野自体がアカデミズムという「権威」から離れた「周縁」に位置した思想家であったからだろう。網野は後醍醐天皇と自分をやや重ねた部分もあったのではないだろうか。
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